安心の技術

1 難抜歯・親知らず・埋状歯

親知らずって何?~親知らず(智歯)の生え方と問題点~ 親知らずって何?
図1

“親知らず”とは第三大臼歯を指します。一般的に十代後半から二十歳前後の成人の頃に生えることが多いので、『親が亡くなっていても、生えたのを知らない歯』ということで“親知らず”という呼ばれ方をするとも言われます。現代人は噛む習慣が少ない事などにより、あごの骨の発達が悪く、特に下あごが小さく、比較的後で生える親知らずは正常に生えないケースがあります。

斜めに傾斜したり、歯ぐきの中に埋まってしまったり、手前の歯との間にすき間が生じ食べかすがつまって虫歯や歯周病を誘引したり、前方の歯を押して歯並びを悪くします。[図1]

歯ぐきが腫れている場合は、歯と歯ぐきの間に汚れがたまって炎症を起こしてくるので、状態によって、ひとまず炎症を抑えて抜歯の必要があるか検討します。歯ぐきが親知らずを覆っている場合は歯ぐきを切除します。口が開けずらい場合は、上あごの親知らずが顎関節に悪影響を及ぼしている場合があります。この場合も適切に抜歯して口が楽に開けられるようにします。その他、歯並びを悪くし矯正治療を行う際、抜歯することがあります。

虫歯・歯周病・歯列不正を引き起こす親知らずや埋伏歯は抜歯が必要です
むし歯、歯周病を引き起こしている親知らず

横に生えた親知らずはほとんどの場合抜歯しなければなりません。骨の中に埋まっている歯を取り出すには、歯の周りの骨を少し削り取る必要があります。考えてみて下さい。軟らかい骨と硬い骨とでは、どちらが処置をする際に大変でしょうか?年齢とともに骨が硬くなり始めますので、骨の硬さから考えても出来るだけ早い時期の抜歯処置が必要です。

特に18歳以上の若い人に親知らずの抜歯を勧めています。18歳で骨の成長はほぼ終了しますのでその後親知らずがきれいに生えてくることは考えられません。若いうちに抜歯しておくと歯を抜いた後の傷の治りも早くまた体力があるにこしたことはありません。就職して社会人になりますと、治療に通う時間がなかなか取れません。このような理由から、社会人になる前に親知らずの抜歯について歯科医院に相談するよう勧めています。同様に若い女性にも親知らず抜歯をすすめています。妊娠中に親知らずが痛んだ場合、薬の胎盤を通しての胎児への影響を考えなければなりません。出産後は母乳を介して、母親が服用した薬が新生児に移行することを考えなければなりません。子供の成長とともに、走り回る子供を追い駆けまわすなど育児に追われ、体を動かしますので、母親は痛いなどと思っていられないのも事実です。

粘膜弁切除術

親知らずがあっても、垂直に萌出してきており、炎症も軽度で、保存することが可能と思われる時、粘膜のかぶさっている部分を切除して経過をみることもあり、全てが抜歯の対象となるわけではありません。

しかし抜歯することが決まったら、最善の方法で抜歯します。麻酔は不安や緊張をとるために、笑気吸入鎮静法や静脈内鎮静法などが併用され安全にリラックスして治療を受けることが可能です。麻酔が十分効けばその後の処置に痛みはありません。

歯が横に生えてきたり、根が曲がっていたり歯と骨が癒着している場合などは歯又は骨を削って抜く事もあります。抜歯後の痛みは鎮痛剤の服用でコントロールできます。上あごの抜歯は比較的短時間で処置できますが、下あごの抜歯ではしばしば腫れが見られます。術後は安静にする時間を確保するため外出や食事は数時間控えてください。当日の飲酒はもちろん、入浴もシャワー程度が良いでしょう。

親知らずは正しく生えることが比較的少ないため、他の健康な歯や人体の健康を阻害する恐れがある場合がしばしば見受けられます。年齢を重ねますと骨も硬くなりがちです。20歳前後に歯科医院で検診を受け、親知らずの状態を良く観察することをお薦めいたします。