咀しゃくと健康について

咀しゃくとは?

食べたものを歯で噛み砕いて唾液と混ぜ合わせ、飲み下す状態にするまでの一連の過程を「咀しゃく」といいます。
噛む効果でまず挙げられるのが、食べ物をすりつぶすことによって、胃の負担を軽くし、消火をよくさせることです。さまざまな働きをもつ唾液の分泌も促進さ れます。また、歯や歯茎の健康を保ち、顎の骨を丈夫にして顎の発達を促す作用もあります。また、脳に刺激を与え、活性化させたり、ストレスを解消させるこ とも医学的に明らかになっています。また、流動食やファストフード等の柔らかい食事による早食いに比べ、少ない量で満腹感が得られることから、食べ過ぎに よる肥満防止、生活習慣病の予防にもつながります。

最近、顎の発育が悪く歯並びが乱れている子供が増えています。歯並びが悪いと清掃が難しくなるため、むし歯や歯周病になりやすく、消化不良をも起こします。歯並びに大きな影響を与えるといわれる顎の発育はやわらかな食べ物だけでは決して十分ではありません。適度な噛みごたえで噛む力を鍛える事が大切です。歯科の分野では、軟食等の影響で歯並びの悪い子供たちの咀しゃく力に着目したキシリトール入りの硬いガムが開発されていますが、本来の日本食であるたくあんやレンコン、ごぼう、タコ、イカなど噛みごたえのある食物が見直されつつあります。

健康との関わり(8020運動とは)

国が奨める「健康日本21」では糖尿病、循環器病、がんに並んで歯の健康があげられています。そこでは「80歳になった時に、自分の歯が20本残っているようにしよう」(8020)ということが目標にされています。またたとえ歯を失っていてもきちんと噛めるように歯を入れておくことが大切です。
ではなぜ、20本自分の歯を残すことが必要なのでしょうか。大人の歯は全てそろっていると上下あわせて28〜32本あります。このうち約6割の20本の歯があればほとんどの食品が食べられるからです。
何でも食べられる歯が20本以上残っている人は、栄養摂取状態もよく、からだを動かす能力も優れ、よく眠れる等、健康にとってよい条件を持ち合わせているという研究結果が報告されています。ですから80歳で20本の歯を保っている人は、病気にかかっても全体の医療費が少なくて済むという結果もでています。

楽しい食事をするために

歯がなくなれば、味覚が鈍ってQOL(生活の質)が落ちるだけでなく、認知症のリスクも上がります。そのためにも歯を失う原因となるむし歯や歯周病の予防に努め、健康な歯を残し、しっかり合った入れ歯をいれておくことが重要となります。また、大人と違って幼児期は毎回の食事が噛む練習です。食材を小さく切りすぎていないか、柔らかすぎないかなど気をつけて下さい。

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